運命 99.10.8

私は昨日、唯一無二の親友との電話で「私は何も持っていない」と泣いた。分かっている。五体満足な体を持ち何とか健康に、仕事もあって、そんな事を言える親友もいる。でも、それでも私は何も手にしていないようで泣けてきたのだ。ずっと欲しかったものがある。でも、それはいつまで経っても手に入れることが出来ず、そればかりか少しばかり手にしていたものさえサラサラと指の隙間から零れ落ちていってしまった。その、零れ落ちていく感覚がとてもリアルに焼き付いている。そして、それはつい最近ということではなく結構前だった。でも、私は気づかないようにしてきた。気づいてしまったら本当に全てが終わってしまう気がしたから・・・。でも、彼女と話をしていて思わず口を衝いて出た言葉に私は自分自身で驚きながら、そして、「あぁ、やっぱりそうだったのか」と思いながら泣いてしまったのだ。
彼女は困惑していたようだった。そして、あきれてもいた。でもね、分かるんだけどでも、その孤独は人が思うよりもずっとずっと永く、失い続けていく歴史は自分で思っていたよりもずっとずっと深く私を変えてしまっていたのだ。

私は、人間はどんな事でも本当に願ったら絶対に叶えることが出来る!って信じていた。恋愛の挫折をいくつか経験し、その考えが人の心を相手にした時にはあてはまらないんだなぁって思ったこともあったけど、やっぱり最終的に本当に愛しきることが出来なかったから愛されなかったんだって、どこかで自分を守ってしまったから愛されなかったんだって思って、やっぱり私の哲学は変わらなかった。

それなのに、私は今あきらめに取り付かれて、失うことに慣れてしまって、人の心や自分の夢に興味を無くしつつある。そして、そんな自分が耐えられなかった。

でもね、彼女に弱音を吐いたことで私はとても大切なことに気づいたの。それは、人の心や自分の夢に興味を無くしてしまった自分というのが本当の自分では無いということ。本当は何よりも興味があるからこそ、失ってしまうことを恐れて興味が無いって思い込もうとしてるだけだったってこと。

そして、そんな私に彼女はこんな言葉をくれた。
「運命って言うのは、命を運ぶってこととなんだよ。」って・・・。
そうだよね、私はいつだって求めるばっかりで、自分から動くということをしない。今、恐れることより嘆くことより、本来の自分があるべき場所に自分を運ぶということが大切なんだよね。その手段はやはりとてもたやすいものではないから戸惑うし、あきらめや挫折のイメージに捕われそうになるけれど、自分が本当にその場所にふさわしいなら、本当にその場所に行きたいと心から願うのなら、ひたむきに自分の命を運ぶしかないんだよね。

ありがとう。失い続けてきた歴史の中で、こんな力強い言葉をくれる親友がいてくれて本当に良かった。少なくとも、私は誰でもが持てるわけではない唯一無二の親友がいるのだから、少しは自分を誇れるかな?!エッヘン!

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